新改訳新約聖書 1965
使徒の働き 18
1 その後、パウロはアテネを去って、コリントへ行った。
2 ここで、アクラというポント生まれのユダヤ人およびその妻プリスキラに出会っ た。クラウデオ帝が、すべてのユダヤ人をローマから退去させるように命令したため、
近ごろイタリヤから来ていたのである。パウロはふたりのところに行き、
3 自分も同業者であったので、その家に住んでいっしょに仕事をした。彼らの職業は天 幕作りであった。
4 パウロは安息日ごとに会堂で論じ、ユダヤ人とギリシヤ人を承服させようとした。
5 そして、シラスとテモテがマケドニヤから下って来ると、パウロはみことばを教える ことに専念し、イエスがキリストであることを、ユダヤ人たちにはっきりと宣言した。
6 しかし、彼らが反抗して暴言を吐いたので、パウロは着物を振り払って、「あなたが たの血は、あなたがたの頭上にふりかかれ。私には責任がない。今から私は異邦人のほう に行く。」と言った。
7 そして、そこを去って、神を敬うテテオ・ユストという人の家に行った。その家は会 堂の隣であった。
8 会堂管理者クリスポは、一家をあげて主を信じた。また、多くのコリント人も聞い て信じ、バプテスマを受けた。
9 ある夜、主は幻によってパウロに、「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけな い。
10 わたしがあなたとともにいるのだ。だれもあなたを襲って、危害を加える者はな い。この町には、わたしの民がたくさんいるから。」と言われた。
11 そこでパウロは、一年半ここに腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けた。
12 ところが、ガリオがアカヤの地方総督であったとき、ユダヤ人たちはこぞってパウロ
に反抗し、彼を法廷に引いて行って、
13 「この人は、律法にそむいて神を拝むことを、人々に説き勧めています。」と訴え た。
14 パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人に向かってこう言った。「ユダ ヤ人の諸君。不正事件や悪質な犯罪のことであれば、私は当然、あなたがたの訴え
を取り上げもしようが、
15 あなたがたの、ことばや名称や律法に関する問題であるなら、自分たちで始末をつけ るのがよかろう。私はそのようなことの裁判官にはなりたくない。」
16 こうして、彼らを法廷から追い出した。
17 そこで、みなの者は、会堂管理者ソステネを捕え、法廷の前で打ちたたいた。ガリオ は、そのようなことは少しも気にしなかった。
18 パウロは、なお長らく滞在してから、兄弟たちに別れを告げて、シリヤへ向けて出 帆した。プリスキラとアクラも同行した。パウロは一つの誓願を立てていたので、ケンク レヤで髪をそった。
19 彼らがエペソに着くと、パウロはふたりをそこに残し、自分だけ会堂にはいって、ユ ダヤ人たちと論じた。
20 人々は、もっと長くとどまるように頼んだが、彼は聞き入れないで、
21 「神のみこころなら、またあなたがたのところに帰って来ます。」と言って別れ を告げ、エペソから船出した。
22 それからカイザリヤに上陸してエルサレムに上り、教会にあいさつしてからアンテオ ケに下って行った。
23 そこにしばらくいてから、彼はまた出発し、ガラテヤの地方およびフルギヤを次々 に巡って、すべての弟子たちを力づけた。
24 さて、アレキサンドリヤの生まれで、雄弁なアポロというユダヤ人がエペソに来た。 彼は聖書に通じていた。
25 この人は、主の道の教えを受け、霊に燃えて、イエスのことを正確に語り、また教え ていたが、ただヨハネのバプテスマしか知らなかった。
26 彼は会堂で大胆に話し始めた。それを聞いていたプリスキラとアクラは、 彼を招き入れて、神の道をもっと正確に彼に説明した。
27 そして、アポロがアカヤへ渡りたいと思っていたので、兄弟たちは彼を励まし、そこ の弟子たちに、彼を歓迎してくれるようにと手紙を書いた。彼はそこに着くと、すで に恵みによって信者になっていた人たちを大いに助けた。
28 彼は聖書によって、イエスがキリストであることを証明して、力強く、公然とユダ ヤ人たちを論破したからである。