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新改訳新約聖書 1965

使徒の働き 8

1 サウロは、ステパノを殺すことに賛成していた。その日、エルサレムの教会に対す る激しい迫害が起こり、使徒たち以外の者はみな、ユダヤとサマリヤの諸地方に散らされ た。

2 敬虔な人たちはステパノを葬り、彼のために非常に悲しんだ。

3 サウロは教会を荒らし、家々にはいって、男も女も引きずり出し、次々に牢に入れ た。

4 他方、散らされた人たちは、みことばを宣べながら、巡り歩いた。

5 ピリポはサマリヤの町に下って行き、人々にキリストを宣べ伝えた。

6 群衆はピリポの話を聞き、その行なっていたしるしを見て、みなそろって、彼の語る ことに耳を傾けた。

7 汚れた霊につかれた多くの人たちからは、その霊が大声で叫んで出て行くし、大ぜい の中風の者や足のきかない者は直ったからである。

8 それでその町に大きな喜びが起こった。

9 ところが、この町にシモンという人がいた。彼は以前からこの町で魔術を行なっ て、サマリヤの人々を驚かし、自分は偉大な者だと話していた。

10 小さな者から大きな者に至るまで、あらゆる人々が彼に関心を抱き、「この人こそ、 大能と呼ばれる、神の力だ。」と言っていた。

11 人々が彼に関心を抱いたのは、長い間、その魔術に驚かされていたからである。

12 しかし、ピリポが神の国とイエス・キリストの御名について宣べるのを信じた彼ら は、男も女もバプテスマを受けた。

13 シモン自身も信じて、バプテスマを受け、いつもピリポについていた。そして、しる しとすばらしい奇蹟が行なわれるのを見て、驚いていた。

14 さて、エルサレムにいる使徒たちは、サマリヤの人々が神のことばを受け入れた と聞いて、ペテロとヨハネを彼らのところへ遣わした。

15 ふたりは下って行って、人々が聖霊を受けるように祈った。

16 彼らは主イエスの御名によってバプテスマを受けていただけで、聖霊がまだだれに も下っておられなかったからである。

17 ふたりが彼らの上に手を置くと、彼らは聖霊を受けた。

18 使徒たちが手を置くと聖霊が与えられるのを見たシモンは、使徒たちのところ

に金を持って来て、

19 「私が手を置いた者がだれでも聖霊を受けられるように、この権威を私にも下さ い。」と言った。

20 ペテロは彼に向かって言った。「あなたの金は、あなたとともに滅びるがよい。あな たは金で神の賜物を手に入れようと思っているからです。

21 あなたは、このことについては何の関係もないし、それにあずかることもできませ ん。あなたの心が神の前に正しくないからです。

22 だから、この悪事を悔い改めて、主に祈りなさい。あるいは、心に抱いた思いが赦さ れるかもしれません。

23 あなたはまだ苦い胆汁と不義のきずなの中にいることが、私にはよくわかっていま す。」

24 シモンは答えて言った。「あなたがたの言われた事が何も私に起こらないように、 私のために主に祈ってください。」

25 このようにして、使徒たちはおごそかにあかしをし、また主のことばを語って後、エ ルサレムへの帰途につき、サマリヤ人の多くの村でも福音を宣べ伝えた。

26 ところが、主の使いがピリポに向かってこう言った。「立って南へ行き、エルサレム

からガザに下る道に出なさい。」(このガザは今、荒れ果てている。)

27 そこで、彼は立って出かけた。すると、そこに、エチオピヤ人の女王カンダケの高 官で、女王の財産全部を管理していた宦官のエチオピヤ人がいた。彼は礼拝のためエルサ

レムに上り、

28 いま帰る途中であった。彼は馬車に乗って、預言者イザヤの書を読んでいた。

29 御霊がピリポに「近寄って、あの馬車といっしょに行きなさい。」と言われた。

30 そこでピリポが走って行くと、預言者イザヤの書を読んでいるのが聞こえたので、 「あなたは、読んでいることが、わかりますか。」と言った。

31 すると、その人は、「導く人がなければ、どうしてわかりましょう。」と言った。そ して馬車に乗っていっしょにすわるように、ピリポに頼んだ。

32 彼が読んでいた聖書の個所には、こう書いてあった。

「ほふり場に連れて行かれる羊のように、

また、黙々として

毛を刈る者の前に立つ小羊のように、 彼は口を開かなかった。

33 彼は、卑しめられ、そのさばきも取り上げられた。 彼の時代のことを、だれが話すことができようか。 彼のいのちは地上から取り去られたのである。」

34 宦官はピリポに向かって言った。「預言者はだれについて、こう言っているのです か。どうか教えてください。自分についてですか。それとも、だれかほかの人について ですか。」

35 ピリポは口を開き、この聖句から始めて、イエスのことを彼に宣べ伝えた。

36 道を進んで行くうちに、水のある所に来たので、宦官は言った。「ご覧なさい。水が あります。私がバプテスマを受けるのに、何かさしつかえがあるでしょうか。」 37-38 そして馬車を止めさせ、ピリポも宦官も水の中へ降りて行き、ピリポは宦官にバプ テスマを授けた。

39 水から上がって来たとき、主の霊がピリポを連れ去られたので、宦官はそれから後 彼を見なかったが、喜びながら帰って行った。

40 それからピリポはアゾトに現われ、すべての町々を通って福音を宣べ伝え、カイザリ ヤに行った。